朝日新聞デジタルより
登山家の野口健さん(40)がヒマラヤの山々をみつめて20年。雪崩の多発、氷河の崩壊などの異変を訴えてきた。被害の現場を日本にいかに伝えるかを模索している。
【動画】登山家・野口健さんインタビュー=佐藤正人撮影
野口さんは今年の環境フォーラムには登壇しないが、2012年フォーラムには参加し議論を繰り広げた。
昨年は初の写真集「野口健が見た世界」(集英社インターナショナル)を出版。ヒマラヤの山あいで大洪水で水没した集落を取り上げた。氷河が解けて水量が急増したせいだという。
「女性の遺体写真を収録しました。身元確認のため路上に置かれていた。赤茶けた皮膚の姿にカメラを向けるのがつらかった。収録するかどうか、とても悩んだ。欧米メディアは遺体写真を掲載する。日本ではまだ見かけない。遺体に配慮するとの考えは、ぼくは尊重したい。でも、今回は被害の実情を伝えなければという考えの方が重かった」
「氷河が解けている、水害も増えているという訴えは長くしてきました。でも日本からヒマラヤは遠い。しかも東日本大震災以降、日本での温暖化への関心はトーンダウンしていると実感している。だから現場で何が起きているのかはぜひ伝えたかった。『気温上昇』『二酸化炭素の増加』といったデータだけではリアリティーがなく、温暖化の恐怖は伝わらない」
ヒマラヤで始めた清掃登山活動は今、富士山でも取り組んでいる。全国からのボランティアと汗を流す野口さんは「自分の住む場所でも一度、清掃に凝ってみてほしい」と呼びかける。「例えば通学路を一度きれいにしてみる。こんなところにゴミがあるのかと気づく。そして行動につなげてほしい」という。「自然は大事だとだれもが思う。そこからどう行動するかが大事。そのきっかけを見つけると、とても楽しいのです」。山ガールのなかには、野口さんのことを思って登山でゴミ拾いをする人がいる。野口さんの言う「きっかけ」は実はあちこちにあるのかもしれない。
◇
「朝日地球環境フォーラム2014」は10月1日(水)と2日(木)の両日、東京都千代田区の帝国ホテルで開催します。7回目となる今年のテーマは「未来への約束 私たちのTOKYOボイス」。地球の未来のために私たちひとりひとりに何ができるのかを考え、参加者や子供たちの声や意見を発信します。1日目は全体会議「環境科学テクノロジー」。2日目は、都市の快適さ、海の資源保護などをとりあげます。参加者と講師との双方向コミュニケーションをはかるワークショップを開催します。(敬称略)
◇
参加申し込み方法やプログラムの詳細は、http://www.asahi.com/eco/forumで。応募は9月5日締め切り。応募多数の場合は抽選となります。
お問い合わせは03・5216・5303へ。
【動画】登山家・野口健さんインタビュー=佐藤正人撮影
野口さんは今年の環境フォーラムには登壇しないが、2012年フォーラムには参加し議論を繰り広げた。
昨年は初の写真集「野口健が見た世界」(集英社インターナショナル)を出版。ヒマラヤの山あいで大洪水で水没した集落を取り上げた。氷河が解けて水量が急増したせいだという。
「女性の遺体写真を収録しました。身元確認のため路上に置かれていた。赤茶けた皮膚の姿にカメラを向けるのがつらかった。収録するかどうか、とても悩んだ。欧米メディアは遺体写真を掲載する。日本ではまだ見かけない。遺体に配慮するとの考えは、ぼくは尊重したい。でも、今回は被害の実情を伝えなければという考えの方が重かった」
「氷河が解けている、水害も増えているという訴えは長くしてきました。でも日本からヒマラヤは遠い。しかも東日本大震災以降、日本での温暖化への関心はトーンダウンしていると実感している。だから現場で何が起きているのかはぜひ伝えたかった。『気温上昇』『二酸化炭素の増加』といったデータだけではリアリティーがなく、温暖化の恐怖は伝わらない」
ヒマラヤで始めた清掃登山活動は今、富士山でも取り組んでいる。全国からのボランティアと汗を流す野口さんは「自分の住む場所でも一度、清掃に凝ってみてほしい」と呼びかける。「例えば通学路を一度きれいにしてみる。こんなところにゴミがあるのかと気づく。そして行動につなげてほしい」という。「自然は大事だとだれもが思う。そこからどう行動するかが大事。そのきっかけを見つけると、とても楽しいのです」。山ガールのなかには、野口さんのことを思って登山でゴミ拾いをする人がいる。野口さんの言う「きっかけ」は実はあちこちにあるのかもしれない。
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「朝日地球環境フォーラム2014」は10月1日(水)と2日(木)の両日、東京都千代田区の帝国ホテルで開催します。7回目となる今年のテーマは「未来への約束 私たちのTOKYOボイス」。地球の未来のために私たちひとりひとりに何ができるのかを考え、参加者や子供たちの声や意見を発信します。1日目は全体会議「環境科学テクノロジー」。2日目は、都市の快適さ、海の資源保護などをとりあげます。参加者と講師との双方向コミュニケーションをはかるワークショップを開催します。(敬称略)
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参加申し込み方法やプログラムの詳細は、http://www.asahi.com/eco/forumで。応募は9月5日締め切り。応募多数の場合は抽選となります。
お問い合わせは03・5216・5303へ。
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